2017年5月24日水曜日

前回の記事の訂正と、改めて訴えたいこと。



前回の記事の閲覧数が、すさまじいことになっています! 誰か影響力のある方がfacebookにリンクを繋げたとか、twitterで話題にあげたとか、何かしらあったんじゃないかなぁ。そうでないなら、機械の故障としか考えられないです(笑)。


まぁ、僕なりに意を決したというか、このタイミングでエゲツない情報を世間にブチ込むことによる「いい加減に、この業界の現状を知って欲しい!」の情念が強くありましたので、閲覧数が増えまくったというのは、もちろん嬉しいことです。



しかし、それを読んだ僕の友人から、「クルーズ船の訪日観光客数が本当は60万人だ、というのは、さすがに低く見積もりすぎじゃない?」との指摘を受けました。また、記事のコメント欄には有志の方から、“1回のクルーズで複数の港に寄港するクルーズ船の外国人旅客についても、(各港で重複して計上するのではなく)1人の入国として計上している”との記載のある資料を、提示していただきました。



そこで改めて再検証をと、2016年の外国クルーズ船の日本国内寄港の詳細データを探しに探しまくったのですが、これがどうしても見つかりません。2015年の中国発の船のデータは見つかったので、2015年と2016年は船の数以外(コース等)はそんなには変わらない、という前提で話をすすめます。


2015年、中国発のクルーズはおよそ60%が博多港に寄港しました。そして博多港の2015年の外国船寄港回数は全部で245回。その内の9割以上は中国発とのことなので、中国船は約225回。そこから計算すると、2015年の中国発の日本寄港のクルーズ船は、全部で375隻程度だったと考えられます。長崎の30%115回でも≒380と、同じような数字になるので、この数字はほぼ、間違いないはずです。

そして、これら中国発の375隻のほとんどが、乗客定員2000〜3000名の、超巨大クルーズだとのことです(これには驚きました)。もちろん常に満員とは限らないので、乗客実数の平均を2000人としても、×375で75万人・・・。2015年の、中国人観光客のみのカウントで75万人なわけで、前回に僕が書いた「全部で60万人」は、この時点で完全に雲行きが怪しくなって来ました(焦)!!


さらに、改めていろいろな記事を読みまくったところ、博多港の2016年のデータについてを報じる記事(毎日新聞 2017年1月17日)に、

クルーズ船がほとんどを占める不定期の外国航路の乗降者数(概況値)は約169万3000人と昨年より54万4000人(約48%)多かった。

との記載がありました。


んん!? 博多港だけで、一年に外国人観光客が169万人!!?

・・・と、読んだ直後は驚きましたが、よく読むとこれは、「外国航路」とはあるものの「外国人」とは書いておらず(つまりは、日本発で海外に行く船も含む)、「乗客数」ではなく「乗“降”者数」。さらには「乗降“客”数」でもなく「乗降“者”数」なので、乗務員も含んでいるわけですね。クルーズ船がほとんどを占める、というのもビミョウな言い回しで(クルーズ船以外も含んでいるということ)、しかもわざわざ「概況値」とまで。言葉のマジックですね〜。


分かりにくいので、計算に使う数字を2015年のものに統一します。乗降者数は169万(2016年)−54万=115万(2015年)ですが、乗客ではなく乗“降”客なので115万人は半分にして、58万人。2015年に博多港発着の、“海外に向かう or 海外から来た”船に乗った人(乗務員・日本人客・外国人客)すべてをひっくるめて、58万人ということです。


そこをさらに掘り下げるために、では、クルーズ船に乗っている人間の【乗客】:【乗務員】の割合ってどんなもんなんだろう?と思い、調べたところ、こちらはけっこうたくさん見つかりまして。世界最大の客船「オアシス・オブ・ザ・シーズ」の乗客数は6300人、乗務員は2000人超(スゴッ!)。 他にも、乗客4300人の船に乗務員1300人、800人の船に470人・・・

えぇ〜っ、クルーズ船って乗務員の数の割合、こんなに高いの? 乗客の半分〜三分の一くらいの数の乗務員が、乗っている!?


ということは、2015年に博多港利用の海外航路58万人(乗務員・日本人客・外国人客、全てを含む)の内訳は、乗客が約45万人で、乗務員が13万人といったところでしょうか。 日本人客の数は微々たるもんでしょうから忘れるとして、2015年に博多港を利用した外国人観光客は45万人。この内、中国人は9割以上なので、42万。一方で2015年の中国発クルーズの乗客は、前述のように全部で75万人。博多に寄る中国船は60%なので、75万×0.6≒45万。42万人とほぼ同じになった。


・・・というわけで、博多港の発表データを元に検算し、2015年の中国発クルーズ船による訪日観光客数は75万人ほどであると、僕の中でも確定いたしました。


そう考えると、2015年の全体数112万人というのも、中国人だけで75万人なのですから、正しい数字なのではと思い直しました。なので僕は、政府発表のクルーズ船による訪日観光客数の公表は、間違えていないとの見解に、ここで訂正いたします。「フェイク!」とか言ってしまって、政府さん、ごめんなさいです! 読者の皆さん、お騒がせして申しわけありませんでした!!



というわけで、なんだかカッコ悪いので、クルーズ船の誤解の件は、これで許してくださいです!!



・・・しかし、だとすると、宿業界としてはますます厳しいですね。僕はこれまでは「クルーズ船観光客の199万人は、本当は三分の一くらいだ」と捉えていたのが、丸ごとだったわけですからね。つまりは、宿業界にとってはお客さんになり得ない相手が、僕のイメージよりも3倍も多かったことになります。


なので、前回も「政府がインチキしている!」「数字は信じないで!」という、変化球な論点ではなく、「クルーズ船に泊まる観光客が多過ぎて、今や宿業界は完全に疲弊しているのに、それが世間には伝わっていない」というストレートな方向に、訴えればよかったですね。これは、素直に反省します。



政府発表の訪日観光客数

2010年   860万
2011年   620万
2012年   840万
2013年  1040万
2014年  1340万
2015年  1970万
2016年  2400万

を、僕らホステル業界の顧客候補の数で表すと、

2010年        860万
2011年        620万
2012年        840万
2013年       1040万
2014年  1340万→1100万(乗員200万クルーズ 40万)
2015年  1970万→1570万(乗員290万クルーズ110万)
2016年  2400万1840万(乗員360万クルーズ200万)


となります。乗務員の中には、日本国内の宿に泊まるという方はいるでしょうが、ホテルではなくホステルやゲストハウスに泊まる方はほぼ皆無(笑)でしょうから、この通りとします。


そしてここから、

「政府は観光客数は2400万人と発表しているけど、この業界的には1840万人しかいない」

「2014年から2016年の間に、ホステルの顧客候補(需要)は1.7倍に増えた。しかし一方で、ベッド数(供給)は5倍に増えた!」

・・・と訴えた方が、今のこの業界の厳しさを皆さんに伝える上では、シンプルでより効果的だったかもしれませんね。



とにかく僕は、「今、宿が不足している」といった、現実とは大きくかけ離れた情報、その先入観をいまだに持つ方々に、一人でも多く、一刻でも早く眼を覚まして欲しい。「ならば儲かるはずだ!」と思い込み、無策で無謀に宿業に参入する方々を、できるだけ多く止めたい、と、そのように考えております。


宿業界の今のこの現状と、全く明るいとは言えない未来展望を充分に理解されており、それでも儲けを生むスキームをお持ちの方、スキルのある方、よっぽどの環境的なアドバンテージのある方(僕はこれですね)は、僕の訴えは気にせず、どんどん飛び込んで来てくださいです!!




2017年5月21日日曜日

訪日観光客数の、フェイクを暴く!!



先日、葛飾区の保健所の職員さん数名が、抜き打ちの検査のためにYAWPにやって来ました。

ウチはちゃんと許可をもらっている合法の宿ですし、特にやましいことなく真面目に運営しております(笑)ので、検査自体は問題はなかったのですが、最後に職員さんと少し話をしまして。

僕の「最近は、ゲストハウスの起業の相談は増えていますか?」の質問に対し、職員さんの答えは「以前とは比べものにならないくらい、ものすごく増えている」でした。



・・・というわけで、ホステル(ゲストハウス)の新規オープンの大波が、全く止まってくれません。

特にここ半年ほどの間には、東京都内には一気に50軒弱、増えました。昨年後半の時点で90軒くらいだったのが、今は135軒くらいあります。たったの半年で、いきなりの1.5倍です。


その結果、都内の全ての宿の経営が、今はたいへん厳しい状況です。ビックリです。僕は、二年くらい前から「この業界、これからは厳しくなりますよ!」と訴え続けています。一年前には、「業界全体が、完全に下り坂です!」と書きました。そんな感じで僕は、長いこと警鐘を鳴らし続けていたわけですが。

今のこのホステル業界は、そんな僕のこれまでのネガティブ予測(笑)をはるかに上回るレベルでの、すさまじく悲惨な状況です。業界内の僕の友人たちは皆、「ヤバい!ヤバすぎるよ!」状態に陥っております。


まぁ、このブログの読者数はたいした数ではないですし、当然、影響力もありません(涙)。なので、「ホステル(ゲストハウス)を開きたい!」と意気込んでいたけれど、このブログを読んで「やっぱりやめておこう」となった方は、ゼロとは言いませんが、ごく少数だと思います。

しかし中には、このブログの過去記事を読んだけれど「いや、きっと大丈夫だ!」「やっていけるはずだ!」となっている、良くも悪くも真っすぐな人もいることでしょう。なんならすでに、開業へ向けての準備中という方もいるかもしれません。


そんな“それでも突き進む”方々の、そのポジティブ思考の源が、「これからオリンピックがあるし!」だとすると、短絡的過ぎてかなり残念なのですが(オリンピック、たったの十七日間ですよ。そしてオリンピック後は、どうするんですか?)、多くの方々は

「いや、だって実際に外国人増えてるじゃん!テレビ等でも、“過去最高”とか報じてるじゃん!!」

を軸にしていると思うのです。


なので今回、この記事で、僕はその軸をポッキリ折ってしまおうと思います。夢のない話で、ちょっぴり寂しい気持ちもありますが・・・。




まず、大前提として言っておきますが、
ここ数年、訪日観光客数が増えているのは、おおまかに言うと、事実です。

しかし、不思議な話かもしれませんが、
外国人観光客の宿泊数の合計は、以前よりも減っています。


どちらも、観光庁が発表している公のデータを元にしています。ネット等でテキトウに調べれば、それが間違いではないとすぐにわかります(リンク例→ホテル・旅館の外国人宿泊者数で減少続く、都市圏よりも地方の減少が顕著に。お役所が嘘をついていない限りは、これはどちらも、事実なのです。


おかしな話ですよね。観光客が増えているのに、宿に泊まる人は減っているなんて。



観光庁発表の、訪日観光客数の統計はここ数年、

2010年   860万
2011年   620万
2012年   840万
2013年  1040万
2014年  1340万
2015年  1970万
2016年  2400万

という流れで推移しています。まずはこのデータの詳細を、ここにまとめます。



2010年を基準とすると、

2011年は震災があり、訪日は敬遠傾向に(ー240万)。
2012年には、だいたい元通りに回復した(+220万)。

そして2012年末に、第二次安倍内閣が発足。安倍首相は、これからの日本は観光立国を目指すと宣言。


2013年、政府は、
東南アジア諸国を中心にビザ(入国許可証)発給条件を緩和。その結果、観光客数は大幅増(+200万)。

そして、2020年東京オリンピックの開催が決定。政府は、2020年までに観光客数2000万人を目標にするとの指針を発表。しかし観光庁は、このままだと2020年は1700万〜1800万人台になるとの予測を発表。

(ここから政府が、なり振り構わずの何でもアリ状態に突入!!)


★(↓↓重要!)★
2014年2月、観光庁は
訪日観光客数の統計方法の見直し
を発表。これまでカウントされていなかった、飛行機や船の外国人乗務員を、集計に加えることに(順調に増えているように見せたいのでしょう。政府、すげぇセコい笑)。これ、2014年の時点で、年間でだいたい200万人だそうです。つまりは、2014年の増加分(+300万)のほとんどは、集計方法を変えたことによる、単なる水増し分なわけです。(リンク→統計の集計手法の変更で訪日外国人客2000万人突破を目指します!


★(↓↓重要!)★
2015年1月、政府は
中国人観光客へのビザ発給条件を、大幅に緩和。結果、観光客数は(+630万)と、すさまじく増加。その内の300万人は、中国人観光客の増加分。香港&台湾人も含めると、増加分は400万人以上!


2016年、政府はインドとベトナムに対してのビザ発給条件を、大幅に緩和(その影響は、あまり無かった)。中国人観光客の増加傾向は止まらず、全体観光客数の増加分(+430万)の内、220万は中国人(&香港・台湾人)観光客。中国人観光客数が、2014年終了時点からのたったの二年で、およそ3倍に!!





★(↓↓重要!)★
そして2017年!!
なんと・・・中国人観光客数の伸び率(前年比)が、完全にストップした!!特に2月以降は壊滅的で、2月(+2.0%)、3月(+2.2%)、4月(+2.7%)。つまり、ビザ条件緩和から二年続いた“中国人観光客が増えまくり状態”は、ここで完全に頭打ちとなったわけです!!





伸び率が大幅に下落した、とはいえ、いちおう増えてはいますので、数字の上では“過去最高!”と、テレビなんかでは景気のいい話として報じますよね。しかし、前述のように、よりにもよって“観光客数の増加がついに頭打ち!”になってしまったこの半年の間に、新しいホステルやゲストハウスがすさまじく大量にオープンしてしまったわけです。なんという皮肉、タイミングの悪さだぁぁぁ〜っ!!!!



ここで、改めて疑問に思った方がいるかもしれない、というか、そもそもの論点はどこに行ったんやねん!・・ですよね。なぜ、訪日観光客数は増えているのに、宿泊者数は減っているのかと。


短期滞在の者が増えた?・・・は多少はあるのかもしれませんが、違います。

Airbnb等を利用して違法宿に泊まる、統計にカウントされない“隠れ民泊”が増えた?・・・の影響は確実に大きくありますが、それがメインではありません。


その一番の要因は、中国・香港・台湾、からの訪日観光客の多くが、今は

クルーズ船を利用している

ことなのです。クルーズ船ですから、彼らが寝るのは、船の中です。日本の陸地に建っている宿には、彼らは泊まらないのです。宿泊業界には、全くお金を落とさないのです。


クルーズ船による訪日観光客数(※乗務員は含まず)は、政府発表で、

2013年: 17万人
2014年: 42万人
2015年:112万人
2016年:199万人

です。そのほとんどが、上記の中華圏の三ヵ国(中国・香港・台湾)からの船です。2016年は、前年比で中国人が220万人も増えたわけですが、その増加分の内の80万人は、クルーズ船を利用したということです。




〈※後述※〉 
以降↓↓↓の記載には事実と異なる内容が含まれているため、更新済みの次記事にて、訂正をしております。あえて、削除はいたしません。



ここで、もう一つ大事な要素があります。こういった、中華圏の方々が利用するクルーズ船の多くは、那覇や博多、横浜や札幌等、一回の航海で平均してだいたい3〜4つの港に寄港します。そして、

乗客は出港&寄港の度にいちいち、日本からの出国と入国の手続きをします。


要はこれは、前述の2014年に政府が統計方法を変更したのと同じくらいに、大きな数字のフェイクを生んでいるシステムなのです。政府は、2016年にクルーズ船にて訪日した外国人の数は199万人であると発表していますが、あくまでこれは、押された入国スタンプの数です。本当の人数は、その三分の一〜四分の一で、せいぜい、60万人です。60万人でも、すさまじい多さですけどね。なので、199万ー60万≒140万、この140万は、同じ人物が複数回スタンプを押された分であり、すなわち、水増し分です。


というわけで、水増し分を差し引いた数字による、本当の訪日観光客数(おおよそ)をまとめる(2013年より前のクルーズ船は、ほとんどないので計算しない)と、

     政府発表  本当の数(水増しの内訳)
2010年  860万
2011年  620万
2012年  840万
2013年  1040万
2014年  1340万→ 1110万(乗務員200万、クルーズ船30万)
2015年  1970万→ 1590万(乗務員300万、クルーズ船80万)
2016年  2400万→ 1900万(乗務員360万、クルーズ船140万)


と、なります。
そして、本当の数による中華圏の人々の訪日観光客数(中国ビザ緩和後)の前年比はというと、彼らを運んだ乗務員数を全乗務員増加数の半分くらいとして、

2015年 +300万(400万−乗務員50万−クルーズ50万)
2016年 +130万(220万−乗務員30万−クルーズ60万)

です。


中国人へのビザ発給条件の緩和直後の2015年に、中国人観光客は+300万人と、大幅に増えました。

しかしその勢いは・・・昨年2016年の時点で、実は大きくブレーキがかかっていたのです。それって考えてみたら、当たり前のことなんですけどね。とある川を、壁で塞き止めているとして、壁をとっぱらったら勢いよくドド〜ッと一気に水が流れますが、それは最初だけで、すぐに落ち着きますからね。


そして今年、2017年。中華圏の人々のクルーズ船ブームは、前年比+70%だそうで、ますます盛り上がっているようです。にもかかわらず前述のように、観光客数は頭打ちの状態です。政府が発表している、水増し分を含んだ上の数字で、すでに頭打ちなのです。これはどういうことかといいますと、

本当の訪日観光客数は、すでに減少傾向にある

と推測される、ということです。たった数%の伸びでは、クルーズ船の増加による複数回スタンプの水増し分、フェイク・カウントの分で、相殺されるどころか、むしろマイナスになっていると思われるのです。


テレビ等で「外国人が増えている!」「過去最高数を記録!」といった情報を耳にし、それを真に受けて、「今は宿泊業がビジネスチャンスだ!!」と、いまだになってしまっている方々へ。


上記の僕の分析は、僕は以前から書こうか迷っていた記事なのですが、今の宿業界の壊滅的な状況を見渡して、ついに告発?を決意しました。


あなたの知る通り、外国人観光客数はここ数年、たしかに増え続けていましたが、その中にはたくさんのフェイク・カウントが含まれており、実はあなたのイメージするほど大きくは増えていません。また、増えている観光客の多くは、クルーズ船での来日なので、宿業界にとっては全くプラスになっていません。

しかし、あなたと同じような勘違いをし、宿業を始めた人が大量発生しておりまして、いまやその数は3年前の、3倍ほどです。主に大きな宿がたくさん増えましたので、ベッド数で言えば、5倍は軽く越えていると思われます。

つまりは、あなたのイメージする「外国人が増えている」は、実際にはそんなにでもない。しかし、それに気付けずにこの業界に飛び込んだ人々は、あなたが思うよりも、はるかに多いのです。この事実を知って、あなたはそれでもビジネスチャンスだと思いますか?



世の中は、いろいろと、フェイクだらけです。それを全く疑わない、ド正直すぎるあなたは、テレビの報道や政府発表の表面的な情報のみを鵜呑みにして、定職を失い、大金を失い、人生を台無しにしてしまわないように、気をつけてくださいです。




2017年5月13日土曜日

そして誰も食えなくなった。



ゴールデンウィーク、混んでいました!
ゴールデンウィークが終わってからは、メッチャ空いています!!


実はどこにも書いたり言ったりしていませんでしたが、7〜10日の四日間は、先月末の時点で予約がゼロだったので、受付を打ち切って休んじゃいました。なので、一昨日からがゴールデンウィーク明けの営業再開だったわけですが、正直、予約状況はビミョウでして、しばらくはゲスト数3〜7人の間をさまよう感じです・・・(涙)。


具体的に言うと、5月最初の六日間(ゴールデンウィーク)は計67泊で、稼働は93%でしたが、11〜31日の二十一日間に一日あたりのゲスト数が仮に平均で5だとすると、合計泊数は172となり、月全体の稼働率は53%になります。これは、今現在の予約状況がこの先も変わらなければ、の話なので、これからそれなりに予約が入るとは思いますが。それを踏まえたとしても、届いたとして、せいぜい60%かなぁ。

損益分岐点の150泊は間違いなく越えますし、赤字というわけではないのですが、5月ってゴリゴリのハイシーズンですよ!! ハイシーズンに50〜60%は、ヤバいって!!! 去年は、稼働率は80%とそれなりだったものの、過去最高のゲスト数(ジャスト100人)をウェルカムできた月ですよ!



というわけで、さすがに「たった一年で、なぜこんなにも稼働が落ちそうなんだろ」の追求欲が湧きまして、久しぶりに業界全体を観察する気になりました。他の宿は好調なのにウチだけが落ちているのだとすると、致命的ですからね。で、シンプルにいつもの価格調査を。



【hostelworldに登録中の東京都内の ホステル or ゲストハウス
(ホテル、カプセルホテルは除く)
5月13日現在 最低価格まとめ】
(100円未満の端数は四捨五入)

価格(円)   軒数
 300   1 
 500   1
1000   1
1500   3
1600   1
1800   6
2000  13
2100   6 
2200   5 
2300   6 
2400   7 
2500   9 (←YAWP!)
2600   1 
2700   1  
2800   3  
2900   4  
3000   5
3200   2
3300   4
3400   1
3500   2
3800   2 
3900   1
4000   1


          10月21日  2月 5日  5月13日
価格平均値    : 2614円→ 2521円→ 2409円
価格中央値    : 2500円→ 2400円→ 2350円
最頻値      : 2000円→ 2000円→ 2000円
全軒数      :55軒   →72軒   →86軒
2000円以下の宿:10軒(18%)20軒(28%)26軒(30%)
ウチより安い宿 :22軒(40%)37軒(51%)50軒(58%)


ウギャー!! 価格平均値が、さらにまたガクンと落ちましたよ!
値段を2000円以下に設定しているところも増え続け、ウチ(2500円)より安く設定している宿に至っては、なんと50軒に達してしまいました!


この調査、だいたい100日くらいの等間隔ペースでやっています(狙ったわけではなく、たまたまです)が、値段は10月→2月がマイナス93円、2月→5月がマイナス112円。ウチより安い宿は同じくプラス15軒、プラス13軒と、それなりに安定したペースで推移しています。安定したペースで業界全体が疲弊して行っています。


もちろん、値下げをしている=経営状況がよくない、です。ローシーズンで集客に苦労する時期である10月や2月と違い、5月はハイシーズンです。本来であれば、この数字は改善していなければおかしいのです。春から夏に向けて、日本にやって来る観光客が増え、宿としては稼ぎ時となる時期なのです! にもかかわらず、ご覧のようにこの業界の、マイナス傾向が全く止まっていない!!


こいつぁもう、本格的に超ヤバい。

皆、ローシーズンを苦しみながらなんとか乗り越え、春が来て「さぁ、これからは稼げるぞ!」っと意気込んだ矢先での、この状況です。最近は、あそこは撤退を検討中だとか、あそこは身売り先を探しているとか、そんな噂話ばかりを耳にします。

昨年までのニューオープンの勢いは留まること知らず、今年に入ってからも、新しいホステルがアホみたいに増えましたが、どうやらもはや完全に飽和の限界を超えてしまったようです。供給過多が、取り返しのつかないレベルに達したようです。おそらくこれからは、それなりの数の宿が、潰れて行くと思います。実はすでに、潰れてしまった宿もいくつか存在しています。

この業界で、人気や知名度の面では最上位にいるであろうカオサングループさんやバックパッカーズジャパンさんなども、ついに値下げに踏み切りました。また、そういった業界最大手の皆さんが最近開いた最新の宿々も、軒並み苦戦していると聞きます。



上記の通り、ウチは今では完全に“平均より値段が高い宿”です。ウチ同様に、値段をガッチリ固定でずっとふんばっている宿はもはや、328さん、ザブットンさん等のみで、片手で数えられるくらいしかありません。そういった宿々のことは、僕は同志のような感覚で、「一緒にがんばりましょう!」という気持ちが強くあります。


しかしさすがにウチも経営がヤバくなりそうなので、そろそろ本気で次のブッキングサイト登録の作業を進めます。とっくに宣言していたというのに結局、ノンビリを継続する毎日で、実はまだ何もやっていないのです!6月は夏休みをいただくので(そんな余裕はないのかもしれませんが)、その夏休み中には登録を完了し、遅くとも休み明けの7月からは“2つのブッキングサイト”体制にしようと思います!!


ウチは、経営難になる→予約を受け付けるブッキングサイトを増やす、の繰り返しで、オリンピックまでは充分に乗り切れると考えております。ほとんどの宿が、値下げというカードを切らなければならなくなっているのは、すでに全てのブッキングサイトに載せてしまっているからなんですよね。エースを使い切っているので、ジョーカーを出すしかない。ウチは、エースがまだまだ残っている上での黒字経営(今のところは)なので、このゲームはこの先もしぶとく生き残りますよ!!



最近カラオケに行き過ぎてる




2017年5月2日火曜日

大人数グループはハイリスクすぎる!!



ゴールデンウィークですねぇ〜。みなさま、いかがお過ごしですか?

このブログ、4月は更新が二回だけでした! というかよく見たら、2月から三ヵ月連続で二回でしたね・・・。昨年は、月三回ペースだったのですが。こりゃアカン。反省。



まぁ、とりあえずまずは、月初めのいつものやつです!


【YAWP!来泊ゲスト国籍 トップ10(2015年4月〜:計1505)】

 ①アメリカ     255名(+8)

 ②イギリス     174 (+11) 
 ③オーストラリア  170 (+11) 
 ④日本       162 (+4)
 カナダ      128 (+6)
 ⑥ドイツ       83 (+8)
 ⑦台湾        46 
 ⑧フランス      44 (+3)
 ⑨ニュージーランド  38 (+3)
 ⑩インドネシア    28 
↑ スウェーデン    28 (+2)


【新規ゲスト数(泊数:日数平均:稼働率(キャパ))月別まとめ】

【2015】
4月:22( 81:3.68:22%(12))
5月:28(132:4.71:35%(12)
6月:11( 60:5.45:17%(12)
7月:65(205:3.15:59%(12)
8月:98(312:3.18:93%(12)
9月:79(278:3.52:93%(10)
10月:91(253:2.78:94%(10)
11月:74(227:3.07:84%(10)
12月:84(229:2.73:82%(10)
【2016】
1月:59(198:3.36:73%(10)
2月:55(194:3.53:78%(10)
3月:72(242:3.36:83%(10)
4月:83(275:3.31:85%(12)
5月:100(278:2.78:80%(12)
6月:26( 72:2.77:60%(10)
7月:45(139:3.09:61%(12)
8月:81(247:3.05:66%(12)
9月:64(215:3.36:90%(10)
10月:56(152:2.71:61%(10)
11月:42(112:2.67:45%(10)
12月:68(191:2.81:68%(10)
【2017
1月:50(190:3.80:79%(10)
2月:22( 81:3.68:58%(10)
3月:55(151:2.75:97%(12))
4月:75(238:3.17:79%(12)

計:1505(4747:3.15:70%)
※稼働率のみ、直前一年間の平均



4月は、前半の十二日間(1〜12日)が計152泊で、稼働率は106%。一方、後半の十三日間(13〜22、28〜30日)が計86泊で、稼働55%。

その結果、月全体では79%と、80%を下回ることに・・・。


う〜ん、残念。前半の忙しさからして、80%は越えるだろうと予想していたんだけどなぁ。後半、伸びず。まぁこれは、キャパ12設定での数字なので、同じ79%でも今年1月のそれとは中身が全然違いますが(キャパ10設定だとすると、95%になります)。



ちなみに後半が55%と、伸び悩んだ最も大きな理由は、実ははっきりしておりまして。


ノーショウ(来ない)が大量発生したのです!!



思えば、昨年も4月になぜか、ノーショウが多発しましたっけ。それをネタに、ブログ記事も書きました。4月って、ノーショウの当たり月なのでしょうかねぇ? そういうバイオリズムがあるのでしょうか!!?


中でも一番腹が立ったのが、超大人数グループ(9人組)の、ノーショウです。おかげで彼らが予約していた日は、フルの予定が、たったの3人。すっからかんでしたよ!稼働が下り坂にさしかかったばかりの、まだそれなりに混んでいた頃合いにですよ!!ふざけんな、コンチキショーォォォ!!


まぁ、彼らは一泊の予約だったので、被害はそれほどでも・・・っって、いやいゃどっこい、大損害ですよ!!彼らはかなり前、今年の1月にこの予約を申し込んでいましたが、おかげでその日だけ他のゲストをほとんどウェルカムできないという事態になりまして。これはどういうことかというと、例えば4月の22〜25日に滞在したいというゲスト、Aさんがいるとして、23日だけ極端に早く売り切れてしまうと、その日が“壁”となりAさんは予約が出来ない。ブッキングサイトで検索しても、一日ずつ分けて調べない限りは、ウチは引っかからない。


これは仮定の話ではなく、実際に彼らの予約が占拠した日の翌日は、かなり予約申し込みの伸びっぷりが悪く。まさしく“壁”になっておりまして。


そしてその結果、そんな“正直アンウェルカムだったけどまぁ我慢して受け入れようと決めた(笑)大人数グループ”が、よりにもよって何の連絡もなく・・・

来なかった!!



つまりは、この9人組のノーショウは、単純にベッドの空きが大量にできたという実害だけでなく、その周りの日に至るまでも被害が有り、迷惑極まりなかったというわけです。正直なところ、僕はこの“大人数の一泊”の予約を受けた際に、断ろうかと本気で迷いました。しかし、“大人数グループはお断りします”的な記載は、ホームページにもhostelworldにも、どこにもしておらず。よって断りを入れる根拠がなく。

思えば昨年の8月、お盆まっただ中の繁忙期にも、5人組7泊のゲストのノーショウがありました。大人数グループゲストの、ノーショウになる確率、高すぎるって! ダメージ、大きすぎるって!! もう、我慢ならん!!!


というわけで、ウチはこれから先、どこかのタイミングで

“大人数グループはお断り”

を、打ち出そうと思います。具体的には、「3人組まで」ということにしようと思います。4人以上のグループになると、僕の印象としては、

・ノーショウされることが多くリスクが高すぎる
・そのグループの内輪で盛り上がってしまい、他のゲストとはあまり交流しない
・他のゲスト達や僕と一緒に飲みに行くこともなく、仲良くなることが少ない
・朝に、一斉に起きて一斉に身支度するので、うるさいことが多々ある(実際に過去に何度も苦情が発生している)
・一泊だと、シーツの準備が間に合わなくなったりする

といったマイナスの面が、多過ぎます。この“お断り”の採用は、ずっと前から考えてはいたんですけどね。なかなか踏ん切りがつかずでしたが、今回の9人組ノーショウ(怒)が決断させてくれました。

現状すでに、4人以上のグループのご予約を一件受けておりますので、彼らの滞在を最後に、以降はこのポリシーを採用させていただきます。とかいって、その最後のグループもまた、来なかったりして(笑)。




しかし、僕はなんだか最近、

・年上だからエライ、お客さまだからエライ、の価値観の人はお断り(確定)
・ハイシーズンに一泊のみのご利用は、お断り(検討中)
・大人数グループは、お断り(確定)

と、入り口を狭めるようなことばかりを発信していますね・・・。
実はこれ、ブッチャケ言うと、わざとです(笑)。


業界全体が下り坂で、どこもかしこも儲からなくなっている今だからこそ、僕は戦略的に、あえて“誰でもウェルカム”の逆を行こうとしています。あくまでもウチは基本的には、少人数(主に独り)で長期旅をする世界中のバックパッカーが、たくさん集う宿でありたいのです。孤独で気ままな放浪旅の最中に、ウチに長期滞在し、毎日ダラダラしまくりでたまにしか出かけず、宿での出会いや交流をメインに楽しむ、そんなゲストに集まって欲しいのです。


こんなご時世だからこそ、無節操なスタンスで集客に振り回されるのではなく、あえて「ウチが求めるゲストは、こんな人たちです!」を強く発信する。色を薄めて画用紙いっぱいに広げるのではなく、色を濃くして濃くしまくって、面ではなく点で目立つ!!


ウチは完全に僕のワンマン経営。何かに貢献しようとかいう気はさらさらなく、万人に愛されたいというような欲もなく、思いっきり自己満足でやっております。なのでどんどん、僕の理想とするホステル環境を目指して、今後も自由・好き勝手に突き進みますよぉぉぉ〜!!