2017年5月21日日曜日

訪日観光客数の、フェイクを暴く!!



先日、葛飾区の保健所の職員さん数名が、抜き打ちの検査のためにYAWPにやって来ました。

ウチはちゃんと許可をもらっている合法の宿ですし、特にやましいことなく真面目に運営しております(笑)ので、検査自体は問題はなかったのですが、最後に職員さんと少し話をしまして。

僕の「最近は、ゲストハウスの起業の相談は増えていますか?」の質問に対し、職員さんの答えは「以前とは比べものにならないくらい、ものすごく増えている」でした。



・・・というわけで、ホステル(ゲストハウス)の新規オープンの大波が、全く止まってくれません。

特にここ半年ほどの間には、東京都内には一気に50軒弱、増えました。昨年後半の時点で90軒くらいだったのが、今は135軒くらいあります。たったの半年で、いきなりの1.5倍です。


その結果、都内の全ての宿の経営が、今はたいへん厳しい状況です。ビックリです。僕は、二年くらい前から「この業界、これからは厳しくなりますよ!」と訴え続けています。一年前には、「業界全体が、完全に下り坂です!」と書きました。そんな感じで僕は、長いこと警鐘を鳴らし続けていたわけですが。

今のこのホステル業界は、そんな僕のこれまでのネガティブ予測(笑)をはるかに上回るレベルでの、すさまじく悲惨な状況です。業界内の僕の友人たちは皆、「ヤバい!ヤバすぎるよ!」状態に陥っております。


まぁ、このブログの読者数はたいした数ではないですし、当然、影響力もありません(涙)。なので、「ホステル(ゲストハウス)を開きたい!」と意気込んでいたけれど、このブログを読んで「やっぱりやめておこう」となった方は、ゼロとは言いませんが、ごく少数だと思います。

しかし中には、このブログの過去記事を読んだけれど「いや、きっと大丈夫だ!」「やっていけるはずだ!」となっている、良くも悪くも真っすぐな人もいることでしょう。なんならすでに、開業へ向けての準備中という方もいるかもしれません。


そんな“それでも突き進む”方々の、そのポジティブ思考の源が、「これからオリンピックがあるし!」だとすると、短絡的過ぎてかなり残念なのですが(オリンピック、たったの十七日間ですよ。そしてオリンピック後は、どうするんですか?)、多くの方々は

「いや、だって実際に外国人増えてるじゃん!テレビ等でも、“過去最高”とか報じてるじゃん!!」

を軸にしていると思うのです。


なので今回、この記事で、僕はその軸をポッキリ折ってしまおうと思います。夢のない話で、ちょっぴり寂しい気持ちもありますが・・・。




まず、大前提として言っておきますが、
ここ数年、訪日観光客数が増えているのは、おおまかに言うと、事実です。

しかし、不思議な話かもしれませんが、
外国人観光客の宿泊数の合計は、以前よりも減っています。


どちらも、観光庁が発表している公のデータを元にしています。ネット等でテキトウに調べれば、それが間違いではないとすぐにわかります(リンク例→ホテル・旅館の外国人宿泊者数で減少続く、都市圏よりも地方の減少が顕著に。お役所が嘘をついていない限りは、これはどちらも、事実なのです。


おかしな話ですよね。観光客が増えているのに、宿に泊まる人は減っているなんて。



観光庁発表の、訪日観光客数の統計はここ数年、

2010年   860万
2011年   620万
2012年   840万
2013年  1040万
2014年  1340万
2015年  1970万
2016年  2400万

という流れで推移しています。まずはこのデータの詳細を、ここにまとめます。



2010年を基準とすると、

2011年は震災があり、訪日は敬遠傾向に(ー240万)。
2012年には、だいたい元通りに回復した(+220万)。

そして2012年末に、第二次安倍内閣が発足。安倍首相は、これからの日本は観光立国を目指すと宣言。


2013年、政府は、
東南アジア諸国を中心にビザ(入国許可証)発給条件を緩和。その結果、観光客数は大幅増(+200万)。

そして、2020年東京オリンピックの開催が決定。政府は、2020年までに観光客数2000万人を目標にするとの指針を発表。しかし観光庁は、このままだと2020年は1700万〜1800万人台になるとの予測を発表。

(ここから政府が、なり振り構わずの何でもアリ状態に突入!!)


★(↓↓重要!)★
2014年2月、観光庁は
訪日観光客数の統計方法の見直し
を発表。これまでカウントされていなかった、飛行機や船の外国人乗務員を、集計に加えることに(順調に増えているように見せたいのでしょう。政府、すげぇセコい笑)。これ、2014年の時点で、年間でだいたい200万人だそうです。つまりは、2014年の増加分(+300万)のほとんどは、集計方法を変えたことによる、単なる水増し分なわけです。(リンク→統計の集計手法の変更で訪日外国人客2000万人突破を目指します!


★(↓↓重要!)★
2015年1月、政府は
中国人観光客へのビザ発給条件を、大幅に緩和。結果、観光客数は(+630万)と、すさまじく増加。その内の300万人は、中国人観光客の増加分。香港&台湾人も含めると、増加分は400万人以上!


2016年、政府はインドとベトナムに対してのビザ発給条件を、大幅に緩和(その影響は、あまり無かった)。中国人観光客の増加傾向は止まらず、全体観光客数の増加分(+430万)の内、220万は中国人(&香港・台湾人)観光客。中国人観光客数が、2014年終了時点からのたったの二年で、およそ3倍に!!





★(↓↓重要!)★
そして2017年!!
なんと・・・中国人観光客数の伸び率(前年比)が、完全にストップした!!特に2月以降は壊滅的で、2月(+2.0%)、3月(+2.2%)、4月(+2.7%)。つまり、ビザ条件緩和から二年続いた“中国人観光客が増えまくり状態”は、ここで完全に頭打ちとなったわけです!!





伸び率が大幅に下落した、とはいえ、いちおう増えてはいますので、数字の上では“過去最高!”と、テレビなんかでは景気のいい話として報じますよね。しかし、前述のように、よりにもよって“観光客数の増加がついに頭打ち!”になってしまったこの半年の間に、新しいホステルやゲストハウスがすさまじく大量にオープンしてしまったわけです。なんという皮肉、タイミングの悪さだぁぁぁ〜っ!!!!



ここで、改めて疑問に思った方がいるかもしれない、というか、そもそもの論点はどこに行ったんやねん!・・ですよね。なぜ、訪日観光客数は増えているのに、宿泊者数は減っているのかと。


短期滞在の者が増えた?・・・は多少はあるのかもしれませんが、違います。

Airbnb等を利用して違法宿に泊まる、統計にカウントされない“隠れ民泊”が増えた?・・・の影響は確実に大きくありますが、それがメインではありません。


その一番の要因は、中国・香港・台湾、からの訪日観光客の多くが、今は

クルーズ船を利用している

ことなのです。クルーズ船ですから、彼らが寝るのは、船の中です。日本の陸地に建っている宿には、彼らは泊まらないのです。宿泊業界には、全くお金を落とさないのです。


クルーズ船による訪日観光客数(※乗務員は含まず)は、政府発表で、

2013年: 17万人
2014年: 42万人
2015年:112万人
2016年:199万人

です。そのほとんどが、上記の中華圏の三ヵ国(中国・香港・台湾)からの船です。2016年は、前年比で中国人が220万人も増えたわけですが、その増加分の内の80万人は、クルーズ船を利用したということです。




〈※後述※〉 
以降↓↓↓の記載には事実と異なる内容が含まれているため、更新済みの次記事にて、訂正をしております。あえて、削除はいたしません。



ここで、もう一つ大事な要素があります。こういった、中華圏の方々が利用するクルーズ船の多くは、那覇や博多、横浜や札幌等、一回の航海で平均してだいたい3〜4つの港に寄港します。そして、

乗客は出港&寄港の度にいちいち、日本からの出国と入国の手続きをします。


要はこれは、前述の2014年に政府が統計方法を変更したのと同じくらいに、大きな数字のフェイクを生んでいるシステムなのです。政府は、2016年にクルーズ船にて訪日した外国人の数は199万人であると発表していますが、あくまでこれは、押された入国スタンプの数です。本当の人数は、その三分の一〜四分の一で、せいぜい、60万人です。60万人でも、すさまじい多さですけどね。なので、199万ー60万≒140万、この140万は、同じ人物が複数回スタンプを押された分であり、すなわち、水増し分です。


というわけで、水増し分を差し引いた数字による、本当の訪日観光客数(おおよそ)をまとめる(2013年より前のクルーズ船は、ほとんどないので計算しない)と、

     政府発表  本当の数(水増しの内訳)
2010年  860万
2011年  620万
2012年  840万
2013年  1040万
2014年  1340万→ 1110万(乗務員200万、クルーズ船30万)
2015年  1970万→ 1590万(乗務員300万、クルーズ船80万)
2016年  2400万→ 1900万(乗務員360万、クルーズ船140万)


と、なります。
そして、本当の数による中華圏の人々の訪日観光客数(中国ビザ緩和後)の前年比はというと、彼らを運んだ乗務員数を全乗務員増加数の半分くらいとして、

2015年 +300万(400万−乗務員50万−クルーズ50万)
2016年 +130万(220万−乗務員30万−クルーズ60万)

です。


中国人へのビザ発給条件の緩和直後の2015年に、中国人観光客は+300万人と、大幅に増えました。

しかしその勢いは・・・昨年2016年の時点で、実は大きくブレーキがかかっていたのです。それって考えてみたら、当たり前のことなんですけどね。とある川を、壁で塞き止めているとして、壁をとっぱらったら勢いよくドド〜ッと一気に水が流れますが、それは最初だけで、すぐに落ち着きますからね。


そして今年、2017年。中華圏の人々のクルーズ船ブームは、前年比+70%だそうで、ますます盛り上がっているようです。にもかかわらず前述のように、観光客数は頭打ちの状態です。政府が発表している、水増し分を含んだ上の数字で、すでに頭打ちなのです。これはどういうことかといいますと、

本当の訪日観光客数は、すでに減少傾向にある

と推測される、ということです。たった数%の伸びでは、クルーズ船の増加による複数回スタンプの水増し分、フェイク・カウントの分で、相殺されるどころか、むしろマイナスになっていると思われるのです。


テレビ等で「外国人が増えている!」「過去最高数を記録!」といった情報を耳にし、それを真に受けて、「今は宿泊業がビジネスチャンスだ!!」と、いまだになってしまっている方々へ。


上記の僕の分析は、僕は以前から書こうか迷っていた記事なのですが、今の宿業界の壊滅的な状況を見渡して、ついに告発?を決意しました。


あなたの知る通り、外国人観光客数はここ数年、たしかに増え続けていましたが、その中にはたくさんのフェイク・カウントが含まれており、実はあなたのイメージするほど大きくは増えていません。また、増えている観光客の多くは、クルーズ船での来日なので、宿業界にとっては全くプラスになっていません。

しかし、あなたと同じような勘違いをし、宿業を始めた人が大量発生しておりまして、いまやその数は3年前の、3倍ほどです。主に大きな宿がたくさん増えましたので、ベッド数で言えば、5倍は軽く越えていると思われます。

つまりは、あなたのイメージする「外国人が増えている」は、実際にはそんなにでもない。しかし、それに気付けずにこの業界に飛び込んだ人々は、あなたが思うよりも、はるかに多いのです。この事実を知って、あなたはそれでもビジネスチャンスだと思いますか?



世の中は、いろいろと、フェイクだらけです。それを全く疑わない、ド正直すぎるあなたは、テレビの報道や政府発表の表面的な情報のみを鵜呑みにして、定職を失い、大金を失い、人生を台無しにしてしまわないように、気をつけてくださいです。




12 件のコメント:

  1. でも乗務員さんだって宿に泊まりもすれば買い物もしますよね?
    何故引くのですか? 全て日帰りという計算でしょうか。

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    1. たしかにそうです。そして、田中様がおっしゃることこそがまさに、政府が統計方法を変更した根拠のようです。僕は、乗務員を加えることの是非ではなく、過去(2013年まで)のデータとの、統合性のなさを問題視しています。まして、統計方法を変えたのが、政府が2020年までに2000万人を目指すと発表した、直後なわけです。だから、「セコい」と言っております。
      2014年以降の統計から乗務員数を引くのと、2013年までのデータに乗務員数を加えることは、どちらも同じ意味になる(集計方法を統一させる)のですが、僕は引く方で計算したというだけです。

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    2. なるほど、確かにデータとしては大幅に別物になりますから、統合性は全く取れていない状態ですね。
      それを合えて言わないことは確かにセコいとも言えます。
      旅館ホテルや観光の業界全体が昔からほとんどIT化というものが進んでいない業態ですし、その他統計の数値にしても上がっている数字と実際がどれだけ合っているか怪しいものもありますね。

      業界は信頼のできる数値を出せるシステムを構築し、それを自信をもって(水増しするまでもなく)国が諸外国にアピールできるようにしなければなりませんね。

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  2. 観光学を勉強しているものです。
    よくぞご指摘いただきました。
    日本の観光統計は全く使い物になりません。
    とくに宿泊に関する数字は行政の恣意が入りすぎていて、むちゃくちゃです。
    都道府県によってはラブホテルの部屋数がビジネスホテルの部屋数よりも多いところもあり、そのあたりは自治体によって基準が違います。旅館の扱い方も担当の役人の胸先三寸なので、よくわかりません。国がムダな税金を使って統計を取るよりも「アパホテル景況指数」や「御三家消費者動向」などの民間指数を出してほしいものです。

    教育学者の間では文科省の「全国学力・学習状況調査」(福井県が1位。ほんまかいな?)よりも 四谷大塚の「全国統一小学生テスト」(東京都が1位)のほうが使われています。観光についても民間企業の統計結果を活用すべきと思います。

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    1. ありがとうございます。

      実は友人から「クルーズ船での訪日観光客数が60万人というのは、さすがに少なすぎない?」との指摘を受け、「たしかにそうだな」と思い、改めて振り返り分析をしているのですが、政府や自治体が発表しているデータの基準が本当にハチャメチャで、わけがわかりません。例えば、博多港は2016年の外国航路の乗降者数を169万人と公表していますが、外国“人”ではなく外国“航路”、乗“客”数ではなく乗“降”“者”数です。つまりこれは、日本人も乗務員も含んだ数字の二倍(乗って、降りるので)であり、訪日外国人観光客数とは全く違うデータです。

      そんな感じで、数字に関しては調べれば調べるほど、頭がこんがらがります。なんにしても、“政府発表にはフェイクがたくさんある”ということが、皆様に伝われば、嬉しいと思います。

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  3. 韓国の場合は対馬(厳原(いずはら)、比田勝(ひたかつ))日帰り旅行があります。特に比田勝は博多港よりも運行会社と便数(JR九州、大亜高速海運、未来高速)が多いです。

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    1. それは、クルーズ船としてでしょうか?
      クルーズ船関連のデータをいろいろ探し見ましたが、「日帰り旅行は、含めない」といった注釈が、よくあります。まぁ、この“クルーズ船”の定義も、あいまいですね。

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  4. http://www.mlit.go.jp/common/001158874.pdf
    1回のクルーズで複数の港に寄港するクルーズ船の外国人旅客についても、(各港で重複して計上するのではなく)1人の入国として計上している。

    だそうですよ。

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    1. 本当ですね。この資料は見落としておりました。この通りだとすると、「入港の度にいちいちカウントしている」は、誤りだったかもしれません。

      実は、記事のup後にさらに綿密にクルーズ船について調べているのですが、2015年の中国発の日本寄港クルーズは約380隻とのことで、乗客はその時点で80万人ほどになるようです。2015年で中国人だけで80万人なのですから、2016年はたしかに全部で199万人なのかもしれません。
      となると、寄港回数の平均は1.5を下回るほどになってしまいますが。

      「いちいちカウントしている」は、僕やこの業界の身近な者々の間では通説だったのですが、誤りが確定しましたら、そのあたりの記述は訂正いたします。

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  5. 「外国人入域者数」だけをKPIにするのではなく、宿泊滞在日数の総和である「人泊数」をKPIにできればいいのにね。
    入国審査の時に目的と滞在期間を聞いているのだから集計すれば報告ベースだけど取れそうよね。

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    1. そもそも、観光庁のこの〈延べ宿泊者数〉という調査結果も、何を元にしているのかがさっぱりわかりません。ウチが、それにかかわる資料の提出や、調査のようなものを受けたことが一度もありませんので。

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    2. 述べ宿泊者数は観光庁の宿泊旅行統計調査によるものです。事業者調査ですが、従業員数10人未満の事業所はサンプリング調査となります。貴施設がそれに該当する場合、たまたまサンプリングから外れているのだと思われます。
      国の観光関係の統計数値はこの宿泊旅行統計調査に加え、旅行観光消費同行調査、訪日外国人消費動向調査、そしてこの記事でテーマとなっているJNTOの訪日外国人旅行者数(元は法務省の出入国管理統計)によるものが多いです。調査方法等も含め、全て観光庁・JNTOのサイトで公表されています。

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