2017年8月29日火曜日

ついでに、映画「マギーズ・プラン」を語る!



暑い! あっつ〜い!! 夏が悪あがきし過ぎてる!!!

僕は夏よりも冬を愛する男なので、ほんともう、嫌になっちゃいます!!



僕の先週の五日間の休みは、予定通りに、ほとんど何もせずでした。友人たちと麻雀を一度して、一日だけ、実家に帰り。あとは仲の良い友人との飲みが一度。他は完全に家でダラダラでした。


映画は・・・DVDを3本だけで、僕にしてはあまり観なかったです。映画館にも行かず。

その3本は、「マギーズ・プラン」「渕に立つ」「皆さま、ごきげんよう」だったのですが、正直、どれも凄まじくつまらなかったです(涙)。すべての映画で、少しも気分が盛り上がらず、感動や興奮もなく。

僕なりにアンテナを立てて面白そうな映画を選んでいるので、3本連続でハズレなケースは、なかなかないんですけどね。まぁ、今回はアンテナの調子が悪かったのでしょう。



その3本の内の、「マギーズ・プラン」。アメリカ産ですがマイナーな映画なので観た方は少ないでしょうが、これはつまらないながらも、語りたくなる作品でした。前回の「LA LA LAND」同様にネタバレしますが、今回は公式の作品紹介の“あらすじ”に書いてある内容を、はみ出ない範囲に留めます(なので、未見の方も読んでいいかと思います)。




主人公(30歳くらい?)のマギーは、どこかフワフワした印象の、何考えてんのかわからん系の女性でして。妻も子供もいるジョン(40歳くらい?)に恋をし、いい関係になります。わかりやすく、ゴリゴリの不倫ですね。

二人が初めて身体の関係になった後、いきなり場面が変わって、次のシーンは三年後にワープします。すでにジョンは奥さんと別れており、マギーと再婚して二人の間には幼い子供もおります。

要は不倫&略奪婚の流れで一気に進むわけですが、ジョンは前の奥さんや子供達ともしょっちゅう連絡を取っており(隠れてではなく)、今でも仲良し。前妻が仕事で忙しい際にはマギーが子供達の世話をしたり等、二つの家庭の間にドロドロ感は全くなく。ものすごくライトな、恨みつらみ無しの、皆ハッピー状態でして。

しかしジョンは、厳しい性格の前妻と別れ、ユルいマギーと一緒になったことで、夢であった小説家を本格的に目指すようになり、全然働かない。家事もせず、わがままし邦題。完全に“我が家にはお子ちゃまがもう一人”状態になっており。

・・・で、マギーは「こんな結婚生活、なんか思ってたのと違〜う」という感じで、ついに決断します。「ジョンを前妻に返しちゃおう」と。



僕はこの映画の鑑賞前から、主人公が前妻に旦那を返すストーリーだというのは知っていましたが、「私もジョンを本当に愛している」「しかし彼は前妻との方が幸せなんだ!」という葛藤を描く、もっと崇高な、愛のある展開だと予想していたんですよ。それがなんと、ここまで違うとは・・・。

この映画は、完全に一方通行なマギーの気分のみで、「妻子ある人を好きになっちゃった〜」「不倫して奪い取っちゃった」「彼と結婚したけど、なんか違う」「こんな旦那、い〜らない」と移り変わるわけです。この女、よく言うと“自由”で“素直”ですが、ハッキリ言って、すげぇ思慮が浅い! アッタマ、わるっ!!


彼女のその決断以降の、展開の詳細はここでは書かないでおきますが、僕としては印象の逆転はなく、イライラが最後まで継続した映画でした。マギー(みたいな女性)、僕は大嫌いです。



しかしながら僕は、羨ましいとも思ったんですよ。何に対してかというと、このライトさにです。不倫して略奪婚して、やっぱりや〜めたで「前妻に返します」。二人の間には、赤ん坊がいるというのにですよ。なんという自分勝手、無責任さです。こんなマギーの行動、日本でやったら大バッシングの、大ブーイングの、袋だたきですよね。


でも、アメリカではこんな自己中女の物語が、普通に企画を通り、さらりと映画化されるわけです(ヒットはしなかったようですが)。そして映画ではむしろ彼女は、その素直で明るい性格から、愛されるべき存在として、描かれているように感じます。

別に直接、外国人から感想を聞いたわけではないのですが、欧米人はおそらくこの映画を観て、マギーに対して腹を立てないと思うのです。微笑ましく観れると思うのです。しかし、僕はイライラしてしまった。

といっても僕は、倫理的に許せなかったわけではないです。彼女のその、考えの浅さ、テキトウに生きてるっぷりに、腹を立てた・・というよりも、呆れただけです。僕は、不倫や略奪婚については、それは当事者間の問題で、周りがとやかく言うことじゃない、という考えの持ち主です。




日本人は、倫理観の押しつけが過ぎます。ここ1〜2年、芸能人の誰それが不倫した・・というニュースが畳み掛けるように続き、全く途切れていません。そのほとんどで、よってたかっての総バッシング状態になります。


簡単に思い出すだけでも

川谷絵音♡ベッキー
宮崎議員♡?(忘れた)
乙武洋匡♡たくさんの女性
とにかく明るい安村♡一般の人
ファンキー加藤♡柴田の嫁
三遊亭円楽♡?(忘れた)
ハイスタの人♡マギー
渡辺謙♡一般の人
中川議員♡一般の人
橋本市議♡今井議員
医者♡斉藤由貴
宮迫博之♡モデル
俳優♡上原多香子

・・・とまぁ、こんなもんでしょうか。この2〜3倍は、あったような気がしますが(笑)。僕は高尚な人間ではありませんので、それら全ての下世話な報道を、野次馬気分で面白半分に見ていましたが、彼らに対して腹を立てたことは一度としてありません。芸能人の誰が付き合おうが別れようが略奪しようが、僕とは関係ない出来事ですし。芸人さんなら、面白ければリスペクトしますし、ミュージシャンなら、ステキな曲を作ってくれれば、それでリスペクトです。

上記にいくつかある、国会議員や地方議員の不倫も、世間では「俺らの税金でメシ食っているくせに!」と怒っている人が多いようですが、僕はなんとも思いませんね。政治家なのですから、政務活動さえしっかりやってくれれば、それでいいです。まぁ、上記の議員の方々は政務活動も残念な感じなので、仮に僕のいる選挙区で立候補されたとしても、僕は投票しませんけどね。


上記最後の、元SPEEDの上原多香子さんの不倫(疑惑)、三年前にミュージシャンの夫が自殺した原因が彼女の不倫だった・・との報道で、彼女は過去最大級のバッシングに晒されていました。僕はこれに関しても、彼女をとても気の毒に思います。こんなことを、わざわざ表明する必要はありませんけどね。

彼女の不倫が事実で、実際にそれを苦に旦那さんが自殺したのだとしても、僕は彼女に対してマイナスの感情は覚えません。彼女がした過ちと、それによって受けた罰との、バランスが悪すぎます。夫の自殺という衝撃で、心を痛めた弱者を、さらに痛めつけたがる者が、日本にはこんなにも多いものかと、僕は悲しくなります。


こういう意見を表すと、「それを被害者の家族の前で言えますか?」といったロジックで反論する者が現れますが、これって本当にレベルが低いと思います。事件に直接関係ない者々が、勝手に被害者と加害者に線を引き、なぜか被害者側に思いっきり寄り添って自分も被害者気分になっている。僕は、旦那さんが自殺したことがよくないと言いたいのではありませんよ。あくまで、上原さんをここまで厳しく叩くのは、おかしいと言っているのです。


誘拐殺人事件なんかがあったりすると、日本ではそのネット記事に「かわいそうに」「辛かったよね・・」「寂しかったよね・・・」といったコメントが殺到する。そこに「子供を深夜に外に出す親にも問題がある」といった意見があると、お決まりの反論「家族の前で言えますか?」で、やっつけた気になっている。この感じ、本当に気持ちが悪い。

不倫では、やられた方の正妻(夫)の気持ち(思い込みですが)を勝手に降ろして来て、「許せない!」と怒り出す。自分の一方的な倫理観を元に、それをハミ出る行為をした者を激しく攻撃する。なんなんですかね、この風潮。とにかく日本には、“被害者”に共感したがる者が多すぎます。



自分と関係のない者が、関係のない所で誰と恋していようが、どうだっていいじゃないですか。僕は、戦争や虐殺などの、世界中の大きな問題に対しては、激しく怒ります。戦います。権力者の横暴や、政治の不正などにも、憤ります。それは、被害者がかわいそうだからではないです。世の中が、平和で平等であってほしいからです。


不倫は、犯罪ではないのです。当事者が、それを許せるならいい感じに解決すればいいですし、許せないならば離婚すればいい。被害も加害もなく、ただ、それだけのことです。芸能人の不倫のニュースにいちいち反応するのはバカらしい、そんなのはネタとして楽しめばいいだけだと、僕は思うんだけどなぁ。


というわけで、映画「マギーズ・プラン」は、つまらないですし主人公の頭の悪さにイライラしますが、“他人の不倫なんて、どぉでもよくない?”というライトさがもっと世間一般に広がってほしいと思いますので、僕はみなさまにおススメします(笑)。





2017年8月20日日曜日

改めて、映画「LA LA LAND」を語る!



8月、おかげさまで前半は混んでいました。稼働は90%越えです。しかし後半は、昨年同様に、ガクッと減る感じでして。稼働は50%を下回ると思われますので、8月全体では、足して2で割って70%くらいでしょうか。う〜ん、まぁ、ボチボチ。


ちなみに、本日20日から24日までの五日間は、お休みをいただきます。休み無しがずっと続き、単純に「疲れちゃった」からです。よって今回も基本的には、誰とも会わず、何もしません。相変わらず映画を観たり本を読んだりで、ひたすらダラダラします。



しかし最近、映画、観たいのがないんですよね・・・。ベタに、スパイダーマンでも観るかなぁ。というか考えてみたら今年って、僕にとっては「公開前からワクワクが止まらない」映画が、すごく少ないです。観たくてしかたがない、というよりも、映画館で映画を観るという活動自体が好きだから、それなりの頻度で映画館に行き、その時のラインナップでベストと思うものを選んでいる、といった感じです。


しかし、今年はもう、それでもいいです。3月に観た「LA LA LAND」が、圧倒的に素晴らしかったので。この作品に出会えただけで、大満足な年だったと言えます。2017年の私的no.1は、おそらくこの映画で確定でしょう。


「LA LA LAND」は、実は8月2日にDVDが発売されておりまして、僕はその日に購入し早速、再鑑賞しました。3月に一度観て、公開期間中にもう一度映画館で観ようと思っていたのですが、結局叶わずで、少し間が空きました。ちなみに僕は気に入った映画は、基本的には全てDVDを購入しています(150枚ほど所有)。



いやぁ〜それにしても・・・二度目だというのに、またしても泣きましたよ。改めて、ボロッボロのグズグズに泣きました。周りを気にしなくてよかった分、映画館で観た初回よりも、泣いたかもしれません。

僕の涙腺刺激コンテンツ(観たり聴いたりすると必ず泣けちゃう)は、これまでは映画では「いまを生きる」、歌では「人生という名の列車(no plan の方)」くらいしかなかったんですけどねぇ。どうやら、「LA LA LAND」もそこに仲間入りしたっぽいです。



しかしながらこの映画、世間一般ではけっこう賛否が分かれています。それはまぁ、僕としてもわからんこともないのですが、しかし大絶賛派の僕としては、「この映画を“嫌い”とか“つまらない”ってぇ連中とは、絶対に友達にはなれない!」と言えてしまうくらいの、熱い思いがあります。


けれどもまぁ、否定派の人の意見も聞いてみようじゃないかと思い、テキトウにネットに転がっている批評(素人さんの)を読んでみたのですが、なんというか僕は、それらに対して根本的なズレを感じたんですよね。例えばとある肯定派の人は、「10代20代に否定派が多く、30代以上はほとんどが肯定派」「すなわち、恋愛経験の多さに比例する」と分析しており。それもまぁわからなくはないのですが、「恋愛経験の多さによる」というと、「これをわからないって? さてはオヌシ、恋愛経験が浅いな?」と、上から目線な感じがします。僕はこの映画をどう受け取るかは、恋愛経験というよりも、恋愛の傾向みたいなものによると思うのです。



【ここから先↓↓↓は、映画の内容がネタバレしまくりなので、鑑賞前の方は読まない方がいいです!!】


僕は、これまでの38年の人生で、それなりの数の女性と付き合い、その全てに別れがあり、今はその元カノたち、誰一人とも繋がっておりません。電話番号やメールアドレスは全て消してしまいましたし、facebook等のSNSでも完全に関係を断ち切っております。


元カノたち全てが、その面で僕と同じ価値観だったわけではないでしょうから、これは、基本的には“僕が”貫いているポリシーです。そしてこれは、今後も確実に変わらない、確固たるものです。

僕のそのポリシーは、恋人がいる時にも丸出しにしているので、別れの際に「友達に戻ろう」と言われたことも、これまでで一度もありません。僕にとっての恋の終わりは、すなわち関係の終わりです。元カノから、しばらくたって連絡をもらい、ヨリを戻したことは何度かありますけどね。



観た方ならばわかりますが、「LA LA LAND」は、きらめく恋のトキメキを主眼に描いているのではなく、むしろ恋の終わりを描いています。そしてそこには、「さようなら」や「別れましょう」といったセリフは、存在していません。しかし、あんなに愛し合っていた主人公の二人、セブとミアは、物語の最後に別れることになる、というか、別れてしまっています。


以前、とある批判的な人が、とあるサイトに「昼の展望台のシーンから先の、二人の物語は描かれず、いきなり5年後にスキップする」「その間に、どういった経緯でミアがセブを捨てたのかを、観客には見せない。そこがダメ」的なことを書いていたのです。僕はそれを読んで、「この人、な〜んにもわかってねぇ〜」と思いました。ミアがセブを捨てた?というのは、フランスに渡ってスターの道を歩み始めたミアが、金持ちイケメンと出会って恋に落ちて〜・・・的な物語を、勝手に想像したのでしょうね。ラストの、寂しそうなセブを見て、振られた男の末路だと捉えたのかもしれません。


あれはどう観ても、あの展望台のシーンで、セブがミアに別れを告げたのです。「別れよう」「さようなら」といった、わかりやすいセリフは発していませんが。一緒にフランスに行くことをイメージした(そう言ってほしかった)ミアに対し、セブの言った「俺はこの街に残る」。これこそが、彼にとっての別れの言葉です。ミアではなく、セブの方から、別れを選んだのです。あのシーンはその前提で観ると、ミアの表情の移り変わりが、本当に切ない! エマ・ストーン、素晴らしい演技をしています!!





そして、展望台での別れからは、彼らは一切の連絡を取っていません。完全に、関係を断ち切ったのです。これは僕の想像ではありますが、間違いないでしょう。二人にとって、愛し合っていた日々が本当に大切だからこそ、お互いに、その記憶を心の奥の奥に、しまいこんだのです。簡単に「久しぶり!」「元気〜?」とかいった連絡が出来るような、気軽な繋がりではないのです。


ではしかし、なぜセブは別れを決意したか?・・なのですが、これまた勝手な決め付けで、僕はこう考えます。「ミアの人生の物語における、自分の出番を理解した」と。彼は、ミアと結婚し一生を共にするのではなく、あくまでミアの成長を支え、ステップアップのきっかけとなる存在、との立場を受け入れたと思うのです。「好きだから、ずっと一緒にいたい」ではないのです。「好きだからこそ、出番が終われば、あえて去ろう」なのです。


僕も、出番を理解し、「好きなのにあえて別れた」経験は何度もありますので、このセブの決断に共感しまくりで、涙が止まらないです! そして極めてタチの悪いこととして、こんな形で別れた元カノのことは、その後もずっと好きでいてしまうんですよ!! ヘタしたら、僕がこれまで結婚できていないのも、長いこと彼女ができずに干上がっちゃっているのも、元凶はここにあるのかもしれません(笑)。


ラストシーン。きっとセブも、新しい彼女とかできなかったんだろうな〜と、僕は勝手に妄想で決めつけて、勝手に共感します。そして、勝手に自分の記憶の中の元カノを思い出して、いろいろと思いを馳せて泣けてしまいます。ほんとヤバいです、この映画。



逆に言うと、この映画を酷評する人は、

・恋人と別れても、友達に戻れるし連絡もする
・思い出を、宝物として心の奥にしまった、そんな相手がいない
・ちゃんと「さようなら」がないと、別れに気付けない
・“好きだけど、あえて別れる”の経験がなく、“別れる=冷めた”である

・・・そんな人たちだと思うわけです。こういうタイプは、たしかに若い世代ほど多いでしょうから、そういう意味では世代間ギャップがあるという分析は、納得できます。




僕は、学生時代に読んだ漫画「ツルモク独身寮」で、初めて恋愛を学んだと思います。あれは男1女2の三角関係でしたが、選ばれなかった方の彼女、ともみちゃんの最後の登場シーン&セリフ「知ってるよ、そんなこと・・・」に、当時ガキながらも僕は、感動してしまいまして。そして、そのシーン以降、ともみちゃんは漫画に一切出て来ない。話題にすらあがらず、完全抹消状態に。そんな潔い別れっぷり、恋の去り際の美学を、僕は「ツルモク」から学んだのです。


僕にとって、セブとはすなわち、ともみちゃんだったのです! この、「ちゃんと去る」感。僕としては、恋愛の傾向というか、恋愛に対する美学、と言ってもよさそうです(あえて、カッコつける)。恋人と別れても友達に戻れちゃう、気軽に連絡をとりあえちゃう者々とは、僕は根本的に美学が違う!!



「LA LA LAND」は、極めて優れた“語りがいのある映画”です!!

こんな感じで、一緒に熱い映画談義をしたいという方がいましたら、僕はYAWPでいつでもウェルカムですよ〜!!




2017年8月15日火曜日

ありがとう、向井さん!!



先月末、ジャパンバックパッカーズリンク代表の、向井通浩さんが、亡くなったそうです。


「亡くなりました」ではなく「亡くなったそうです」にしたのは、関係のある方から直接伺ったわけではなく、人づての伝聞の情報だからです。そして僕に、“まだ、信じられない”という思いが強くあるせいもあります。先月の後半まで、いつもと変わらずに、楽しく有益な情報をfacebookやtwitterにあげまくってくれていましたので。逆に言うと、とある日からプッツリとそれらの更新が途絶え、僕は「どうしたのかな?」と心配していたのですが。まさか、お亡くなりになったとは。本当に、急で驚きました。


向井さんは、一般的にはどれだけ知られているのかわかりませんが、このホステル(ゲストハウス)業界では、知らない者がいないくらいの有名な方です。元々は世界を旅するバックパッカーで、日本でも安宿の文化を普及させたいと、世間への発信を続けておりました。ジャーナリストとして、雑誌やTVからの取材の依頼も多く、仮にTV番組“マツコの知らない世界”でゲストハウスが特集に組まれたとしたら、ナビゲーターとして呼ばれるであろう、いや、呼ばれるべき方です。


彼はとにかく、この業界に関して、圧倒的に詳しいのです。業界全体の把握や分析に長けているのはもちろん、個々の宿々の経営状況やオペレーション設計まで知っているような方なのです。実は、僕が知ったように書いている、いろいろな情報や分析の、発信源の多くは向井さんです。このブログは、【※ソースは向井さん】だらけだったわけです。



向井さんは、新たにオープンした宿も、くまなくチェックしています。工事中どころか、着工前、なんなら計画が立ち上がった時点でもう、情報をつかんでいたりします。なので彼と僕との関係も、僕がYAWP!をオープンし、彼がウチに来てくれた、という出会い方です。


二年前のとある日の夕方頃、YAWP!にひょっこりと現れた向井さん(事前に連絡はいただいていました)。その第一声に、「素晴らしい。これぞまさにバックパッカー宿ですね〜」と言っていただけたのは、僕は今でも忘れられません。向井さんのことは、僕は以前から知っていましたので、僕なりにそれなりに緊張していたのです(僕が人と会うことに緊張するのは、極めて稀です)。しかし、挨拶よりも先にそんなありがたいコメントをいただき、僕はホッと胸を撫で下ろしたわけです。そして彼とはそれから2時間ほど、いろいろな話をして盛り上がりました。その後も、年に二回程度ですがお会いすることができ、一緒に飲んだりもしました。



ゲストハウス・ジャーナリストとされる方は、向井さんの他にも、何人かいらっしゃいます。しかし僕は、向井さん以外の方とは、現状で繋がってはいません。それは単純に、向井さん以外の方にウチに来ていただいたことがないせいもありますが、それよりも僕は、向井さんの、ジャーナリストとしての姿勢を尊敬しているからです。



向井さんは、新規オープンの宿のオープニングパーティー(たいていが巨大な宿です)に呼ばれることが多いようですが、何と言いますか、いわゆる“提灯記事”を全く書かないのです。どんなに接待を受けまくろうが、魅力を感じない宿のことは、絶対に褒めない。推薦しない。むしろ、なんならば、クソミソのケチョンケチョンに酷評します。「ゲストハウスは素晴らしいよ!」「ここ、おすすめ! ここも、おすすめ!!」を発信するばかりの、博愛でヌルいジャーナリストではないのです。なので、敵もたくさんいたと思います。

これは向井さんが、本当にホステル&ゲストハウスを愛していたからだと思います。なので、嫌われるのを分かった上で、この業界の玉石混交の“石”を、積極的にやっつけようとしてくれたわけです。これは、僕も同じ考えです。昨今のホステルの爆発的増加傾向を止めたいのではなく、“つまらない宿”がこれ以上増えて欲しくないのです。



さらには僕が向井さんに共感する部分として、「“ゲストハウス開業セミナー”は許せない」がありました。向井さん以外のゲストハウスジャーナリストの方は、こういった胡散臭いセミナーに関わっているケースが多いです。「ゲストハウス経営はこんなに楽しい」「あなたもやってみませんか?」を拡散し、誰にでもいい顔をし、無責任にナカマを増やそうとする。もちろん、有料で。向井さんの元にも、アドバイスを求める開業志望の者が多く訪れたようですが、彼はお金はとらず、業界のリアルな現状をちゃんと伝えてくれていました。


向井さんは、ゲストハウスの経営というものが、いかに儲からないか、いかにキツい仕事か、そういったマイナスの面も発信し続けてくれていた、とても貴重な存在だったのです。急激な飽和の兆候、昨今のすさまじい開業ブームに対しても、危険性を訴え続けてくれていました。少し前にこのブログに、僕は「2014年の時点で、この業界の未来への警鐘を鳴らす方がいた」と書きましたが、これはまさに、向井さんのことです。


要は、向井さんというのは、「日本のホステル・ゲストハウス業界の苦しい現状を包み隠さず訴え」「その上で優れた経営センスのある方や、本当にバックパッカーマインドのある方の参入を期待し」「素晴らしい宿々が揃い、業界全体の魅力が増し、この文化が世間一般に普及することを夢見る」そんな素晴らしいジャーナリストだったのです。



というわけで今回、向井さんを失ったというのは、このホステル・ゲストハウス業界にとっては、すさまじいダメージなのです。本当に、残念です。



向井さんは、亡くなる直前に、経営難による廃業を決意したゲストハウス経営者に対して、その決断を尊重し今後の人生を応援する、とても温かいメッセージを贈っていました。


向井さんは、そんな、優しい方でした。これからも、前途多難なこのホステル・ゲストハウス業界を、天国から見守っていただけると思います。


僕とは二年という、短い間でしたが、本当にありがとうございました!!


昨年の業界人飲み会で。左奥が向井さんです。





2017年8月8日火曜日

暑すぎてもう、ぃやんなっちゃう!!



まずは月初めの、いつものやつです!



【YAWP!来泊ゲスト国籍 トップ10(2015年4月〜:計1639)】

 ①アメリカ     278名(+10)

 ②イギリス     189 (+2)
↑③日本       184 (+15)
↓④オーストラリア  174 
 カナダ      145 (+5)
 ⑥ドイツ       87 (+2)
 ⑦台湾        49
↑ フランス      49 (+2)
 ⑨ニュージーランド  40 
 ⑩スウェーデン    37 (+2)



【新規ゲスト数(泊数:日数平均:稼働率(キャパ))月別まとめ】

2015】
4月:22( 81:3.68:22%(12))
5月:28(132:4.71:35%(12)
6月:11( 60:5.45:17%(12)
7月:65(205:3.15:59%(12)
8月:98(312:3.18:93%(12)
9月:79(278:3.52:93%(10)
10月:91(253:2.78:94%(10)
11月:74(227:3.07:84%(10)
12月:84(229:2.73:82%(10)
【2016】
1月:59(198:3.36:73%(10)
2月:55(194:3.53:78%(10)
3月:72(242:3.36:83%(10)
4月:83(275:3.31:85%(12)
5月:100(278:2.78:80%(12)
6月:26( 72:2.77:60%(10)
7月:45(139:3.09:61%(12)
8月:81(247:3.05:66%(12)
9月:64(215:3.36:90%(10)
10月:56(152:2.71:61%(10)
11月:42(112:2.67:45%(10)
12月:68(191:2.81:68%(10)
【2017
1月:50(190:3.80:79%(10)
2月:22( 81:3.68:58%(10)
3月:55(151:2.75:97%(12))
4月:75(238:3.17:79%(12)
5月:61(185:3.03:57%(12)
6月:19(126:6.63:84%(10)
7月:54(186:3.44:55%(12)

計:1639(5244:3.20:70%※)
※稼働率のみ、直前一年間の平均




いやぁ、まいりました。5月の総括の際に僕は、「ハイシーズンなのに60%を切るなんて、超ヤバいよ〜」的なことを書きました。そして7月はさらにハイシーズンな上に、expediaでの予約受付を開始したというのにもかかわらず、その5月の57%すら下回る55%でした。ガックリ(涙)。総泊数が1多いのに、稼働が低くなっているのは、5月の方が多く休日をいただいているためです。


そのexpedia、受付を開始してからの二週間はそれなりに好調だったものの、予約申し込みゲストのほとんどが日本人の方々だからか、7月〜8月のお盆の頃までの週末がすべて売り切れてからは、パッタリと予約が入らなくなりました。週末は、hostelworldだけでも埋まると思われますので、そういう意味ではexpediaに登録したことによる恩恵は、今のところはあまりないですね(涙)


先月は、相変わらずノーショウがちらほら発生し、「ヤレヤレだぜ・・」という感じでしたが、それよりも残念な傾向が発生しておりまして。僕としてはそっちの方が問題でした。




7月の総泊数186を、4(週)で割ると、一週間あたりのゲスト総泊数はおおよそ46になりますが、この46は毎週、似たような偏りがあり。

日曜日:7
月  :
火  :
水  :
木  :6
金  :12
土  :12

という感じです。


要は毎週、金曜日に一気にゲストが増えてフルになり、日曜〜月曜日あたりにドドッと減ってスカスカになる、そんな波の繰り返しでした。もちろん多少のズレはありますが、大まかに言うと毎週が、だいたいこんな感じでした。



平日(月〜木)と週末(金〜日)の間に、なぜそんな大きな差があるのか。その理由は、どシンプルかつ、くどいほどにココに書いているものです。この7月は、他の宿々の平日の価格設定が、壊滅的に安かったのです。ブッキングサイトに1000円台の宿が連なる中、2500円のウチが選ばれることは、稀だということです。逆に、そんな“平日1000円台設定”の宿でも、週末はウチと同じ位かウチより高く設定しておりますので、週末のみウチはゲストに選ばれるのです。


これは、根拠のない話ではありません。僕はけっこうなデリカシーのない人間(笑)ですので、日曜or月曜日にドドッとチェックアウトするゲストたちの内の、「まだ東京にいるけどさ」な方々に対して、僕は「どこに移るの?」「いくらだった?」と、いつも遠慮なく聞いていました。おそらく10人くらいには聞いたと思いますが、その応えはなんと、すべて1000円台、1500円やら1800円やらだったのです。そして、彼らの多くが「もっとココにいたいと思うんだけどさぁ、他が安くてね〜」という話をします。


う〜ん。哀しいっす・・・。ゲストが宿を選ぶ基準の第一は、値段だというのは理解していますけどね。それにしても、はっきり言いまして、“経営が破綻状態になって値下げしまくってとにかくムリヤリ集客している”宿々に、足を引っ張られている感が強いです。こういった“無謀な値下げ合戦”状態が、その業界全体をダメにするというのは、宿泊業に限らないことだと思いますけどね。


これからやって来るローシーズンが、マジで恐ろしいです・・・。この流れだと、超激安の1000円や1200円に設定する宿が、大量発生するかもしれませんねぇ。くわばら・くわばら。



今回はこの先に、他の話題の記事も書いていたのですが、そちらは別枠で更新した方がよさそうだと思いましたので、ここまでとします(近日中に、更新します)。せっかく読んでいただいたのに、内容が薄い感じで、どうもすみませんです!!



最近は、10代の若者が多いです