2018年5月13日日曜日

夢を語るよりも、大切なこと。




以前に「あえて過去最低の閲覧数を狙う」と宣言した通りに、前回の超自己満足な記事は、最低記録を更新しそうです〜(笑)。なので今回は逆に、読者受けを狙った記事を書くことにします・・・と、いうのは冗談です。



二週間ほど前に、フジテレビの番組“ザ・ノンフィクション”にて、練馬区長選挙に出馬した25歳の若者がフォーカスされていました。僕はドキュメンタリーは好きなので、この番組もよく見ます。

この企画はとても面白かったのですが、同時にイライラもさせられました。この青年、田中まさゆき さんは、現在はフリーのジャーナリストだとのことで。番組があえて取り上げなかったのかもしれませんが、彼の政策や、思い描く未来のビジョンは、視聴者には全く提示されず。まぁ、僕は練馬区民ではないですし、別にいいのですが。


番組は、シンプルに彼の選挙活動を追いかけるような形をとっていましたが、これがまぁ、ツッコミどころが満載で。彼は実家暮らしで、出馬のための供託金100万円は、父親が立て替え。選挙活動の初日から、がっつり寝坊。区役所に立候補の届け出を提出する日には、必要書類を見失い、朝から大慌て。結局、遅刻して役所に到着。

路上での演説の第一声は、「何を話したらいいのかわかりませんが・・・」。そして「政策はホームページに書いてあるので、そちらを見てください」。しまいには、道行くオバちゃんから演説に対しての叱責というかアドバイスというかをされて、号泣。選挙結果は、言わずもがなの、大惨敗。


番組スタッフに悪意でもあるのか? と思わせるくらいに、彼の残念な部分がずっと丸出し状態で。ポジティブ要素がここまでないというのは、実際にこんな散々な選挙活動っぷりだったので、スタッフはどうしようもなかったということなのでしょうか? 本人も、番組に出たことを後悔しているのでは? テレビの取材が来ている状況で、遅刻等のユルユルをさらけ出し続けられるというのは、肝が座っていて凄ぇな〜、とも思いますが(笑)。ただ、そのレベルでダラシがないだけか・・。



といっても僕は、ここで彼についてを語りたいわけではなく。たった一時間の番組を見ただけでは、彼の本質を知れるわけがないですし。僕はただ、その彼を見続けていて、とある者を思い出したのです。とある者、というか、者々というか。ウチに、ゲストハウス開業の相談に来る、若きドリーマーたちのことです。


中でも特に鮮明に、僕の記憶から蘇ったのが、同じく25歳(たしかそうだったはず)のH君。二年前の6月、彼は僕に「ブログのファンです! タクロウさん今、夏休み中ですよね? ぜひお会いしたいです!」と、メールをよこして来まして。返事をしてみると、「今週土曜、上野でいかがですか?」とのこと。話を伺いたい・・・のに、ウチの宿まで来ないんか〜いっっ!!でして。

ただ、ちょうどその日の昼に僕は都心で用事があったため、そんなケースもたまにはいいか、と思いまして。約束の7時、僕が上野駅で待っていると・・・来ない。僕は彼の顔を知らず、彼の方は僕の顔をブログの写真等を見て知っている関係で、僕にはどうしようもなく(僕はスマホではないので、外ではネットに繋がりません)。7時15分、僕がもう帰ろうかという気になった頃合いに、彼は現れまして。


それからテキトウな飲み屋に移動し、トーク開始。しかし、共にした二時間の内のおそらく一時間半ほどは、ほぼ一方通行の、彼の自分語りや“こんな宿を開きたいんです!”話を聞かされるハメに。

彼の“夢を語りたい!”熱が一段落した頃に、僕が

 「で、その宿の実現にはいくらかかると想定してますの?」と切り出すと、
彼「1000万くらいですかね!」
僕「へぇ・・・で、自己資金はいくらあんの?」
彼「今は・・ゼロです!!」
僕「・・・(呆れる)。じゃあ、その1000万は、どうすんだい?」
彼「銀行から借ります!!!」
僕「・・・・(呆れ果てる)、銀行って、そんなにお人好しじゃないんだけど・・
彼「ではもし銀行がダメだったら、クラウドファンディングで集めます!!
僕「・・・・・(呆れ果て果てる)」

となり。


俺の二時間を、丸ごと返してくれ!ってくらいに、こいつは時間の無駄だったぜ、と完璧に確信した瞬間でした。


そんなわけで、以降はテキトウに会話を終わらせたわけですが、会計の段になって、僕が支払い約7000円をきっちり割り勘にしようとしたところ、彼曰く
 「実は今日、財布に2000円しかありませんでして・・」
僕「んぁっ!? どういうこっちゃねん、それ」
彼「飲み屋に決めたの、タクロウさんじゃないですか。僕は、レストランでよかったのに」
となり。あのぉ〜・・君もけっこう、飲んでたよね・・・。

僕はもう、空いた口が塞がらないほどに呆れ果て果て果て、もぅどうでもいいゃ〜になり結局、全額を支払いました。呼び出されて、駅で待たされて、夢物語を延々と聞かされて、なぜか人のせいにされて、払わせられる!! うぅぅぅぅ〜・・・・なんて日だッッッ!!!


というわけで、この上野で会った彼と、練馬区長選挙に立候補した彼が、僕の頭の中でダブって見えたのでした。“意識高い系の、モラトリアムの塊のような夢追い人だが、いろいろとちゃんとしていない”という括りで。




ちなみにウチは現在、オープンから三年と少しなわけですが、その間、僕のところにゲストハウス開業の相談に来た者は、最初の一年間はおそらく50人くらい。二年目に15人くらい。昨年は、ほんの数人です。なので合計としては、70人くらいでしょうか。


この70人は、大きく二つのグループに分けることが出来ます。

① これからゲストハウスをやりたい!こんなゲストハウスの経営を夢見ている!!

② 物件が決まった or 改装工事中 or オープン直前・・・等々の状況で、もう開業は決定している! よって具体的な経営の厳しさ、「ここはこうした方がいい」といった実務的なアドバイスを聞きたい!!

の二つです。


もっとビジネス的な表現では、

① コンセプト(私がやりたいことはこれだ)ばかりを考える者
② ターゲットから先(顧客から求められているのは何か、それをいかに届けるか)を考える者

と、言い変えてもいいです。


そのほとんどは、①です。彼らの多くは、物件探しの最中だったり、まだ物件探しすらしていなかったりという、スタートラインの段階です。しかし彼らは、自分の理想を、とにかくよく語る! 語る!! 語る!!! 稼働率は年平均90%、一ヵ月の内25日はフルになる、とまぁそんな妄想ばかりが膨らみまくりで、頭の中ではすでに、素晴らしい場所に素晴らしいゲストハウスを建て、経営が絶好調で素晴らしい生活、素晴らしい人生を実現させている!!


そんな彼らは、「私の(妄想中の)宿のコンセプトは、これです!」「この点が新しく、特化された魅力があるので、ゲストは必ず来ます!」といったことばかりを特に語りたがるのですが、そのほとんどが「いや、そういうの、すでにあるんだけど(しかも儲かってないんだけど)」でして。しかし僕が伝えると、「じゃあその宿は、努力が足りていないんですよ!」とか、平気で言う。

彼らはそもそも、起業における基本要素であるCTPT、C(コンセプト)→ T(ターゲット)→ P(プロセス)→ T(ツール)すら、全く理解できていない。なので、僕が「君はまだ、世間を知らなすぎる。ビジネスを、基本からわかっていない」といった厳しいことを言うと、なんと「知らないから、こうして話を聞きに出向いているんじゃないですか!」「失礼だ!!」と怒り出したりも。いや、僕はビジネススクールの先生じゃないんだが・・。君のような者が、既存のがんばっている宿々に対して「努力が足りない」とか言っちゃう方が、はるかに失礼なんだが・・・。


一方で、前述の ① ② の内の、②の者は、ざっくり言うと“話が出来ます”。実際に開業に向けて突き進んでいる彼らの話は、はるかに具体的ですし、自分が“話したがる”のではなく、僕の話を“聞きたがる”。売上げ予測も低めに設定してきますし、その上で僕が問題点を指摘しても、「では、どうすればそれを解決出来るのか」を一緒に考えようという展開になり、生産的な“ビジネスの話”になります。それは僕としても喜ばしいことですし、そんな彼らであれば、この厳しい業界でも比較的うまく行く可能性が高いのではないか、と思います。


しかし①のドリーマーたち、君らはダメだわ・・。そもそも、起業には向いていないタイプ、と言い切ってもいいくらいです。ビジネスは、理念ではなく、ゴリゴリにリアルな数字の世界なんですよ。僕が君の妄想話には興味がないことくらい、このブログの読者なら、わかるでしょうに。君がウチに来て、リアルではなくファンタジーの世界についてを僕に語ってしまう時点で、はっきり言って君には、センスがないのです。

結局のところ、夢を語りたくてしょうがない者々というのは、現実逃避をしているだけなのです。夢を追いかけている、という立場が居心地がいいだけです。誰かに熱く語りたがるのも、そこには「私を認めて欲しい!」という念があるだけです。僕は、そのアンテナをビンビンに立たせながら開業相談を受けますので、「あ、そっち系か」と判断した際には、対応はかなり冷たくなっていると思います(笑)。



これまで、このブログでは前述の彼のような、“ウチに来た世間知らずのドリーマー”をネタにしたことはありませんでしたが、まぁ彼には、飲み代をおごったし許してちょうだいです(笑)。あれからもうすぐ二年ですが、その間に彼の存在が僕の業界情報網に引っかかったことは全くありませんので、もちろん開業には至っていないどころか、おそらくとっくに諦めていることでしょう。このブログも、もう読んでいないことでしょう。

今回は、彼の話だけをここに載せましたが、ドリーマー開業志望者に対して呆れちゃった系のネタは、他にも尽きないほどにあります。その全員が、僕の知る限りでは、開業には至っていません。


以前にこのブログでも書いていますが、僕は、若者が新しいことにチャレンジすること自体には、大賛成の立場です。しかしながら、彼らのそれが本気のものなのか、そのチャレンジと心中するほどの覚悟があるのか、どこまで深くそのビジネスの研究をしているのか、を僕は見ています。リアルな覚悟があれば、自主的に学習をしているはずですし、それなりの知識はあるはずです。発信よりも、吸収に欲が向かうはずです。経営者の多くは、皆さんが思う以上に、日々、勉強していますよ。


語りたがりのドリーマーに対して、僕が「君は向いてないよ」「やめた方がいい」とハッキリ言うのは、ある意味では親切心から来るものです。前述の、練馬区長選に立候補した彼をテレビで見て、応援する気持ちは全く芽生えず、むしろ「今の君では当選するわけがない」と僕が言いたくなったのも、おそらくは親切心です(笑)。

逆に、夢見る彼らを笑顔で受け入れ承認欲求を満たしてあげ、しかしその実は彼らをターゲットにビジネスを企む連中は、僕にとってはたいへん不愉快な存在なわけです。そんな夢追い系の自己啓発とか自分探しとかセミナーとかの類いは、それで金儲けをする連中もそれに引き寄せられる連中も、どちらも大嫌いなんですよ、僕は。


僕はとにかく、良くも悪くも、リアリストでド正直でド直球なのです。「君は音痴だから、歌手は向いていないよ」と、ズバッと言ってあげられる者が周りにいないジャイアンは、可哀想だという考え方です。しかし今は、僕のような人間がマイノリティで、ジャイアンに「君の歌は、素晴らしい。夢を叶えるためにサポートしますよ(有料で)!」と誘い込む大人の方が、むしろたくさんいます。


ファンタジーの世界に浸かる若者の、その現実逃避を助長させず、彼らに生々しいリアルを突きつける。それは美しい大人の姿だと、僕は思います。





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