2018年5月21日月曜日

立場が、マインドセットを変える!





5月は、ハイシーズンです。しかし去年は泊数185&稼働57%に留まり、業界の斜陽を痛感したわけですが、今年はどうやら、大幅に回復できそうです。 まぁ、去年はホームページとhostelworldだけでの集客で、今年はそこにexpediaが加わっていますから、回復してくれなければ困っちゃうのですが。というか最近は、予約のほとんどはexpediaとホームページからであり、hostelworldの存在感がどんどん希薄になっております(涙)。


というわけで今月のYAWP! は、集客は順調ですし、ノーショウや直前キャンセルも腹が立つほどは発生しておらず。長期泊のゲストだらけで大きなトラブルもなく、暑いけど風が心地よい気候も手伝い、とても穏やかでスランバーな毎日です。よかった・よかった。



ちなみに今月は、ゴールデンウィーク期間と金・土曜日を除き、再びの【二泊したら三泊目を無料!】キャンペーンを開催しております。実は4月の15〜19日にも、短期間でしたが開催しておりました。月頭に公表した4月の実績、240泊80%は、もちろん無料泊の分を引いた実質の数字です。名目では、254泊85%になります。

このキャンペーン、僕としてはもはやレギュラーの集客戦略になっておりますので、今後はその都度“やっていますよ!”と報告する必要もないかな、と考えております。テキトウにキャンペーンをしているという、その前提での業績報告だと捉えていただければ。逆に言うと、ほとんどの月では、僕が公表する稼働率よりも実はもっと混んでいる、ということになります。稼働率を高く見せて、見栄を張る的な欲は僕には全くありませんのでね。


この、稼働率。いくつかの宿では平均が90%超えだとか、ハイシーズンは常に100%だとか、威勢のいいことばかりを発信しています。言ったもん勝ちで、どうせバレないと思っているのでしょうね。僕のように、他宿の集客状況の覗き癖のある(最近はあまりやっていませんが)者からすると、あまりにウソだらけで笑ってしまうのですが。

一方で、僕の業界ネットワーク内では、皆さんけっこう素直なのです。稼働率を高く言う、なんてことは全くなく、なんならむしろ大げさ気味に「落ちまくっていて、厳しいよぉ〜!」を伝え合っている、という印象です。僕がこのブログで素直すぎる公表をしているので、それに合わせてくれているのかもしれませんが。


僕が繋がっている業界人は、ほぼ全員が小さなゲストハウスの経営者です。一方で、威勢のいいこと(ウソの実績)を発信しているのは、大きな宿。僕が定義するところの、ホステル(ドミトリーホテル)ばかりです。

例えばネットの記事で「〜にできた、大型のホステルA。オープンから半年だが、稼働は常に90%を越えている」といったものを見つけます。僕が「へぇ、あそこってそんなに流行っているんだ」と思いブッキングサイト等で掘り下げてみると、実際には全く入っていないことが判明(笑)。

要はこれって、ただの宣伝記事なんですよね。ウソというか、誇大広告。ネット記事の取材を、宿から依頼したのであれば、それは確実に広報戦略で。流行っている感をムリヤリに出して、それに引き寄せられる情報弱者を狙う、という。逆に、これがネットサイトからの取材申し込みなのであれば、宿側には「リアルな稼働率を言うのは恥ずかしい」とか「見栄を張りたい」とか、そんな気持ちがあるのでしょう。

しかしながら、「稼働が常に90%を越えている」という記事を読んで、「あらステキ! 私も泊まりたぁ〜い!!」となってしまう人って、多くいるのでしょうか? 僕は旅行する際には、混みすぎている宿はできるだけ避けたいタイプですので、仮に稼働90%が本当の数字なのだとしたら、それはむしろ却下の要素になるのですが。

日本人は流行に飛びつくのが大好き、というのはもちろん理解していますけどね。しかし、そんなゲストはそこを人気の宿だと期待して予約して、実際に行ってみたらスカスカでガッカリ、なわけで。ウソの高稼働率の発信が、集客に有効な策だと勘違いしている時点で、僕からすると「この宿、経営のセンスが全くないな〜」と感じてしまいます。



ここで、改めて僕の、このビジネスにおけるポジショニングを考えてみまして。

YAWP! backpackersは開業から三年、稼働は年平均がおおよそ80%→70%→60%と落ち続けておりますが、それでも充分にメシは食えています。50%を下回ると一気に厳しくなるのですが、今のところは60%代をキープできているので、まぁなんとかしぶとくやってこれています。

いちおう黒字経営で、そんなに切羽詰まっていない立場ながらも、毎年10%のペースで落ち続ける現状を憂い、業界の需要と供給のバランスの崩壊、今後のますますの飽和に危機感を募らせ、「ヤバいよ!」の発信をし続けております。だいぶ前にも書きましたが、“僕は比較的余裕があるからこそ、業界を俯瞰で見て、客観的な分析の元にリアルを伝えられる”、と自認しております。経営が苦しくて首が回らない状態ならば、こんなことをいちいちブログに書いている余裕なんてありません。まぁ、その“ウチは大丈夫だけどさ”という点がヒリヒリ感に欠け、“業界全体が危機!”を、いまいち伝えきれない要素にもなっていると思いますが。

ウチは完全にワンオペで、雇用スタッフが一人もいないのでこれが成立する、というのも自認しております。完全に自分を中心にビジネスをしているので、他者に全く気を使うことなく、本音を丸出しでいられる。見栄を張ったり、カッコつけたりする、必要がない。それどころかこのブログは、僕の“素直でいられる立場”を利用している一面もありまして、実際にゲストから「タクロウさんのブログを読んで、この人は嘘がつけない人なんだなと理解し、泊まってみたくなった」と言われることがあります。僕のこのスタンスは、集客にも繋がっているということです。



前述の「稼働90%!」の宿のような誇張はせず、現状の素直な発信をしている宿オーナーは、僕以外にもたくさんおります。僕なりに、彼らのブログ等をそれなりに定期的に開いているのですが、これがけっこう、傾向が分かれているように感じます。

① 素直に業績の悪化を伝え、続出する競合宿のオープンに「ヤバいよ!」と訴える者
② 苦しい現状は充分に認めつつ、それでも「この業界の未来は明るい!」と訴える者

の、二派に。


①は、まさに僕のスタンスですし、その多くは僕と似たような立場の、“小さなゲストハウス、最小限のスタッフで経営”なオーナーです。

一方で②は、多くのスタッフを抱える中〜大規模宿のオーナーが、ほとんどです。彼らは、どう考えてもネガティブな流れである“宿が増え過ぎている”事象に対しても、「ライバルが増え、競争が活発になるのは、いいことだ」「業界が成熟する上で、よい傾向だ」という捉え方でして・・・。

同じ事実を目の当りにしていて、どうしてこうも真逆なのでしょうか(笑)? ②の彼らが「ヤバいよ!」発信を頑なにしないのは、なぜなのでしょうか?


僕はそれは、立場の違いによるものだ、と捉えます。多くのスタッフを抱える立場の彼らが、そんな弱音?を吐くわけにはいかない。本音を丸出しでいるわけにはいかない。彼らは一人の人間としてではなく、組織のボスとして、ポジティブ・マインドを発信し続けているのです。スタッフに対して「厳しいが、俺らは負けないぞ!」のポーズを見せる、必要があるわけです。


そう考えると、僕の立場の、なんと気楽なことか・・・(笑)。なんせ、欲の根本部分が“ほどほどに稼いで、あとはできるだけ多く休みた〜い”ですからね。スタッフをちゃんと養うとか、やる気を起こさせるとか、そういう面倒なのは一切考えなくていいですし。それどころか、扶養家族すらいないので、自分さえ食えればいい。ほんと、超がつくほどのお気楽人生です。

集客が滞れば「ヤバいよ!」を発し、ムカついたら「コンチキショー!」を発し、疲れたら「休みたい!」を発し、嫌悪の対象には「俺はコレが嫌いだ!」を発する。そんな、一切の仮面を被る必要がない立場、一人の人間としての素の面を丸出しに出来る立場というのは、我ながらサイコーです(笑)。



「ウチはこの4〜5月は好調だった」という報告とは矛盾しますが、僕はこの、宿泊業界の供給過多、しかしそれでも全く止まる気配すらない新規開業の大波は、もはや、病的なレベルだと捉えております。通常の市場経済では起こりえない、極めてクレイジーな状態です。そして、その先に明るい未来があると想像することは、難しいと言わざるをえません。共食い状態のサバイバルレースが、これから、というかもうすでに始まっています。

前述の②の彼らは、ウソをついているわけではありません。彼らは、考え方の方向性として、常に前を向く必要があるから、そういう発信をするのです。立場が、マインドセットを形成するんですね。彼らが心の底の底から、この業界の未来が明るいと本気で思っているのだとしたら、これはよっぽどセンスがないか、よっぽど何も考えていないかの、どちらかです。彼らの本音は「厳しい!ヤバい!でも、負けない! 絶対に勝ち残るぞ!!」であって、「でも、負けない! 絶対に勝ち残るぞ!!」の方を強めて言わざるをえない。一方で僕のような者は「厳しい!ヤバい!」だけをノンキに発していてもいいという、そんな立場の違いがあるということです。



僕は超ポジティブ思考の人間なのですが、そう捉えない人もいるよう(笑)なので最後にあえて書きますと、僕が考える、あるべきポジティブな姿勢というのは、

事実の把握→前向きな解決策を絞り出す

ことであり、そもそもの事実を前向きに捉える=ポジティブ、ではありません

財布に100円しか残っていない状況で、「ヤバい・・どうしよう・・・」とドップリ落ち込んで何もしないのは、もちろんながら、ネガティブ思考です。一方で「やった! 100円あれば、もやしご飯で数日は凌げる!!」となるのも、ポジティブではなく、ただの愚か者です(笑)。

真のポジティブ思考とは、「100円ではマトモな飯が食べられない」という事実をストレートに受け入れ、「では、この厳しい状況をどう改善するべきか」を考えることです。


その意味では、「業界の未来は明るい!」の方々と僕は、このままでは間違いなく共感が出来ません。彼らのそのスタンスは、あくまで組織のボスとして、その立場が生んだマインドセットであると、僕は認識します。

僕が彼らと接する機会があれば、彼らにはその仮面を脱いでいただき、素の人間同士として、真に生産的で未来志向な会話が出来ればいいな、と思います。


最近、カラオケに行き過ぎてる




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